地理科学学会
サイトマップ


  

2016年度秋季学術大会のお知らせ(第一報)

第33回 シンポジウム
テーマ: 湿地のワイズユースを考える:自然の保護と活用をめぐる諸問題

趣 旨:
 水は人類の生存に不可欠であり,人類は時代により地域によりさまざまな水との関わり方をしてきた。水は人類にとってだけではなく,他のあらゆる生物にとっても必須なものである。そして,人類や生物が水を介して関わり合いをもつ場として湿地(wetland)がある。地球規模で湿地を保全するために設けられたラムサール条約は,生物多様性保全を目的とすると同時に,それを賢く利用すること(wise use)も目的とし,保全と利用を条約のミッションの両輪としている。水辺は人の暮らしと深く関わっており,利用を意識せずに保全を進めることはできないからである。
 本シンポジウムでは,第一部で,湿地の保全と利用に関する日韓越欧の事例調査報告を通して,湿地の保全と利用に関する論点を具体的に示し,第二部では,これらへのコメントに加え,自然保護,批判地理学,経済地理学,地域研究などの立場から,自然の保全と利用に関わる地理学的アプローチの課題と可能性を論じる。地理学から「湿地のワイズユース」に対して,いかなる研究が可能であり,何を論ずべきかを,多様な視点から洗い出すことを本シンポジウムでは狙っている。

日 時:2016年11月26日(土) 11:00-17:00 (27日に巡検開催を検討中)

プログラム(予定。演題は仮)
【第1部】日韓越欧の湿地調査から考えたこと
・ラムサール登録の社会的意味:調査を通じて感じた日本の事情(淺野敏久)
・地球環境変化と湿地・湖沼のワイズユース:ベトナムの事例を通して(平井幸弘)
・湿地の資源をめぐる権利とコミュニティ:韓国とベトナムの農漁村から(金枓哲)
・漁業者の視点からみた持続可能な環境利用:日韓の事例を通して(香川雄一)
・湿地の環境と水資源:日韓の水資源問題(伊藤達也)
・湿地における持続可能な観光:ドイツとベトナムのラムサール湿地(フンク・カロリン)
【第2部】コメントと討論:「湿地のワイズユース」研究への地理学的アプローチの課題と可能性
・自然保護の観点からみた湿地のワイズユース(辻村千尋)
・「自然の地理学」の観点からみた湿地のワイズユース(中島弘二)
・経済地理学・資源論の観点からみた湿地のワイズユース(秋山道雄)
・総合討論

会 場:広島大学大学院文学研究科(東広島市鏡山1-2-3)
参加費:500円。ただし,大学院生,学部学生は無料。
オーガナイザー:淺野敏久,フンク・カロリン
後 援:国際地球理解年(IYGU)2016


地理科学学会